コーヒーの美味しさは“水”で決まる?

朝の一杯や、ほっとひと息つきたい時にコーヒーを飲む方は多いのではないでしょうか。コーヒーを淹れる際には、豆の種類や焙煎度に注目しがちですが、「水の質」も味わいに大きな影響を与えることがあります。実はコーヒーの約98%は水でできているため、使う水の質がそのまま味に直結するのです。
今回は、美味しいコーヒーを淹れるための「水」の選び方と、基本的な淹れ方のポイントをご紹介します。

水の硬度がコーヒーの味に与える影響

水の「硬度」とは、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分の含有量を表します。
軟水(硬度0〜100mg/L):コーヒーの繊細な香りや酸味を引き立て、すっきりとした味わいに。日本の水道水の多くがこの軟水に該当します。
硬水(硬度100mg/L以上):苦味やコクが強調され、ボディ感のある味に。ただし、硬度が高すぎると、口当たりが硬く感じられることも。ヨーロッパでは硬水が一般的です。
コーヒー豆本来の香りや味わいを楽しみたい場合は、軟水がおすすめです。

コーヒーに「水道水」は使える?

日本の水道水は、基本的にコーヒーに適しています。多くの地域の水が軟水であり、繊細な味わいを引き出すのに理想的です。
ただし、水道水には塩素(カルキ)が含まれているため、地域や環境によってはコーヒーの香りや風味に影響を与えることがあります。そこで、以下のような方法で水を整えることをおすすめします。

浄水器の活用で、よりクリアな味に

水道水の塩素臭を除去し、より澄んだコーヒーの味わいを楽しむためには、浄水器の使用が効果的です。
蛇口直結型やポット型の浄水器は手軽に使え、日常的にも便利です。浄水された水は塩素や不純物が除去されており、コーヒーの香りを引き立てるクリアな味になります。
ただし、浄水後の水は塩素が除去されているため雑菌が繁殖しやすく、早めに使い切るようにしましょう。長時間の放置は避けてください。
浄水器がない場合は、水を一度沸騰させてから冷ますことで塩素を飛ばし、風味を改善することも可能です。

ミネラルウォーターを使うなら?

ミネラルウォーターを使用する場合は、ラベルを確認して硬度をチェックしましょう。硬水のものもあるため、硬度100mg/L以下の軟水タイプを選ぶと、豆本来の香りや酸味をしっかり引き出してくれます。

美味しく淹れるための基本ポイント

水の選び方とあわせて、淹れ方にもひと工夫を。以下のポイントを押さえれば、自宅でも手軽に美味しい一杯が楽しめます。

基本の淹れ方

  • 器具を温める
    お湯を沸かし、ドリッパーとサーバーにお湯を通して温めておきます。
  • 粉をセットする
    コーヒーフィルターをドリッパーにセットし、粉を入れます。目安としては10gの粉で約120mlのコーヒーができます。
  • 適温のお湯を使う
    お湯の温度は90〜96℃くらいが理想です。低すぎると酸味が強く、高すぎると苦味が出すぎるため、一度沸騰させたお湯を少し冷まして使いましょう。
  • 蒸らし(1回目)
    粉全体にお湯がなじむように、少量をゆっくり注ぎ、20~30秒ほど蒸らします。
  • 本抽出(2回目以降)
    ひらがなの「の」の字を書くように、お湯を置くようなイメージで数回に分けて注ぎます。
  • 完成
    サーバーにコーヒーが落ちきったら、お気に入りのカップに注いで完成です。

また、使用後のドリッパーやサーバーを放置しておくと、雑味の原因となり衛生的にもよくありません。毎回しっかりと洗浄しましょう。

さいごに

日常で使う「水道水」も、少し工夫するだけで美味しいコーヒーを淹れるための理想的な水になります。水の硬度・鮮度・温度といった要素に注目することで、コーヒーの味わいはぐっと広がります。
お気に入りの豆を、最適な「水」で抽出して、自分だけの最高の一杯を楽しんでみてはいかがでしょうか?

参考文献