「水道水がなんだかカビ臭い」と感じたことはありませんか?その原因は「2-MIB(ツーエムアイビー)」という物質かもしれません。今回は、この水のカビ臭の正体について、わかりやすく解説します。

カビ臭い水の犯人は誰?2-MIBの正体とは

2-MIB(正式名称:2-メチルイソボルネオール)は、水の中に住む特定の微生物が作り出す物質です。特に「藍藻(らんそう)」と呼ばれる青緑色の微生物や、「放線菌」という土の中にいる細菌が主な原因です。
この2-MIBはとても特徴的な匂いを持っていて、ほんのわずかな量でも人間の鼻は敏感に感じ取ることができます。水1リットルに対して、砂糖の粒1つの何億分の1という超微量でも、カビ臭さや土の匂いを感じるほど…。この物質は健康に害はありませんが、その独特の匂いが不快なため、水道水の品質問題として扱われています[1]。

いつ、どうして2-MIBは発生するのか?

2-MIBが問題になるのは主に夏から秋にかけての暑い時期です。この時期、ダムや湖の水温が上がり、日光もたっぷり当たると、2-MIBを作る藍藻が大量に増えます。特に水の中に窒素やリンなどの栄養分が多いと、さらに増殖します。
大量発生した藍藻は水面に緑色の層を作ることがあり、これを「アオコ」と呼びます。アオコが発生すると、2-MIBも増えてカビ臭の原因になります[2]。また、大雨の後に土の中の放線菌が川や湖に流れ込むことでも、カビ臭が発生することがあります。

驚き!2-MIBのスゴイ特徴とは

2-MIBの最も驚くべき特徴は、その強い匂いと頑丈さです。この物質はとても安定した構造を持っているため、普通の水道処理で使われる塩素だけではなかなか分解できません。
また、人間の鼻は2-MIBにとても敏感です。実は最新の分析機械がやっと検出できるような微量でも、人間の鼻はしっかりと匂いを感じ取れます。私たちの鼻は優れた「カビ臭検出器」なのです![3]
面白いことに、同じ濃度の2-MIBでも、ほとんど匂いを感じない人から、とても強く感じる人まで個人差があります。これは遺伝子の違いで、人によって匂いの感じ方が異なるためです。

水道局はどうやってカビ臭を取り除いているの?

水道局では、2-MIBによるカビ臭を取り除くために、さまざまな方法を使っています。

  • 活性炭処理:活性炭という特殊な炭を使って、2-MIBを吸着して取り除きます。活性炭は小さな穴がたくさん空いていて、その表面に2-MIBがくっつきます。
  • オゾン処理:オゾンという強力な酸化剤を使って、2-MIBを分解します。
  • 生物浄化法:特定の微生物の力を借りて、2-MIBを分解する方法です。
  • 高度浄水処理:上記の方法を組み合わせた、より効果的な処理方法です。

特に都会の大きな浄水場[4]では、カビ臭対策として最新の高度浄水処理施設を導入しています。また、カビ臭を防ぐためには、水源となるダムや湖の水質管理も大切です。

家でもできる!カビ臭対策のワザ

水道水からカビ臭を感じたときに、家庭でもできる簡単な対策があります:

  • 冷やす:水を冷蔵庫で冷やすと、匂いを感じにくくなります
  • 沸かす:お湯を沸かすことで、一部のカビ臭成分を飛ばすことができます
  • レモンなどを入れる:レモンやライムなどの柑橘類の香りで、カビ臭をごまかすことができます
  • 浄水器を使う:活性炭フィルターの浄水器は、カビ臭除去に効果的です

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もし気になる場合は、地域の水道局のホームページで水質情報を確認することもできます。多くの水道局では定期的に水質検査の結果を公開しています[5]。
カビ臭の正体「2-MIB」は健康に害はないものの、不快な匂いの原因となります。この記事を読んで、もし水がカビ臭く感じたときも、その原因と対策が分かれば安心ですね。水道局も私たちも、おいしい水を飲むために、それぞれができることがあるのです。
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参考文献

  • [1]環境省「基43 22006 2-メチルイソボルネオール」PDF形式 
  • [2]国立環境研究所「アオコの発生しない湖のために私たちは何をすればよいのでしょうか」 
  • [3]水道技術研究センター「 Q6 Answer基準値以内のかび臭物質による苦情対応」PDF形式
  • [4]東京都水道局「浄水処理」・「高度浄水処理について」
  • 環境省「水・土壌・地盤・海洋環境の保全」