
日々口にする「水」が、あなたの体調を左右しているかもしれない
私たちが何気なく飲んでいる水には、「硬度」と呼ばれる性質があります。これは水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルの量を示す指標で、水の味や用途だけでなく、体に与える影響にも関係しています。
一般的に炭酸カルシウムの含有量が60 mg/L以下の水を軟水、120~180 mg/Lの水を硬水と呼びます。 日本の水道水の多くは地形や地質の影響から軟水に分類されており、海外の一部地域に比べると非常に飲みやすいのが特徴です。
軟水のやさしさ──体に染み込むまろやかさ
軟水はミネラル含有量が少ない分、口あたりが柔らかく、クセのない味わいが特徴です。そのため、赤ちゃんのミルク作りや高齢者の水分補給にも適しており、料理やお茶の香りを引き立てる用途でも重宝されます。
胃腸への刺激も少なく、日常的に水を多く飲む習慣のある方には、継続しやすい“身体になじむ水”と言えるでしょう。日本の軟水文化が根強いのも、こうした体感的な「やさしさ」に支えられているのかもしれません。
硬水の力強さ──ミネラルがもたらす変化
一方、硬水は豊富なカルシウムとマグネシウムを含んでおり、身体の中に不足しがちなミネラルを補う手段として注目されています。特にマグネシウムは腸のぜん動運動を助ける働きがあり、便通を整える目的で硬水を取り入れる人も少なくありません。
また、カルシウムは骨や歯の健康を保つためにも重要な成分です。欧米では一般的に硬水が飲用されており、こうした生活習慣の違いが、健康観にも影響しているのかもしれません。
ただし、硬水は人によっては胃腸に負担を感じることもあるため、初めて飲む場合は少量から試すのがおすすめです。
健康に良いのはどっち?――「自分に合う水」を見つける視点
軟水と硬水、どちらが「健康に良いか」という問いには、明確な正解はありません。重要なのは、今の自分の体調や生活スタイル、そして目的に合った水を選ぶという視点です。
例えば、胃腸が弱い人や小さなお子様には軟水が穏やかで適しています。一方で、ミネラルを意識的に補いたい方、便秘に悩む方などには、ミネラル豊富な硬水が役立つケースもあります。季節や年齢、体調の変化に合わせて「水を選ぶ」ことが、これからの健康習慣になるかもしれません。
あなたの健康を支える“もうひとつの選択肢”としての水
健康を気遣う人が「食事」や「運動」だけでなく、「水の質」にも注目する時代になりました。最近では家庭用の浄水器やミネラルウォーターを活用し、自分に合った水を選ぶ人も増えています。
日々の水分補給を、ただの習慣で終わらせず、少しだけ意識を向けてみてください。「水の硬度」という一見地味な情報が、思いのほか大きな健康のヒントになることがあります。