日々の暮らしに欠かせない「水」――。飲み水はもちろん、料理や洗顔、洗濯など、私たちはさまざまな場面で水を使っています。しかし、水道水には塩素などの消毒剤が含まれており、細菌の繁殖を抑える一方で、肌や髪への刺激、塩素臭、味の悪化などの問題も引き起こします。
そんな中、塩素を除去する素材として亜硫酸カルシウムが注目を集めています。あまり聞きなじみのない物質かもしれませんが、この記事ではこの亜硫酸カルシウムの特徴や用途について解説します。
亜硫酸カルシウムとは?その特徴と性質を知る
亜硫酸カルシウムは、化学式 CaSO₃ で表される無機化合物で、白色または灰白色の粉末として存在し、欧州では食品添加物として使用されることもあります。水に溶けにくい性質を持ちながらも、水中の遊離残留塩素と化学反応を起こし、これを還元して無害化する働きを有します。 こうした特徴から、亜硫酸カルシウムは浄水器やシャワーヘッドのろ材としても活用されています。以下では、亜硫酸カルシウムをろ材に使う際のメリット・デメリットを紹介します。
亜硫酸カルシウムのメリット
- 即効性:通水した瞬間に塩素と反応するため、ろ過スピードが速い
- 高い除去効率:少量で多くの塩素を処理できる
- 副生成物の安定性 :反応が化学的に完結しており、有害性の低い副生成物が生成される
亜硫酸カルシウムのデメリット
- 塩素除去専用である:活性炭のように広範囲の化学物質(有機物、農薬、臭気など)を除去することはできない
- 使用寿命が短め:即時反応型のため、連続使用や高温下では消耗が早く、頻繁な交換が必要
亜硫酸カルシウムは、ろ過スピードが速く、少量で多くの塩素を処理できることから、シャワーヘッドのように一度に大量の水をろ過する必要がある製品や、コンパクトな浄水器には最適なろ材といえるでしょう。
また、浄水器のろ材として一般的な活性炭は、亜硫酸カルシウムでは除去できない塩素以外の物質を処理できるというメリットがありますが、その分、ろ過に時間がかかるというデメリットもあります。そこで、亜硫酸カルシウムの即効性と高効率という特性を活かし、活性炭との併用によって、お互いの弱点を補完する活用方法も一般的です。
まとめー 亜硫酸カルシウムは“ピンポイント型”のろ材
亜硫酸カルシウムは、塩素除去に特化した即効性の高いろ材として優れた特性を持っています。ただし、すべての有害物質を除去できるわけではないため、活性炭など他のろ材と組み合わせて使うことで、より高性能な浄水環境を実現できます。塩素のにおいや肌への刺激が気になる方にとって、亜硫酸カルシウムはシンプルかつ効果的な対策の一つです。特性を理解することで、目的や使用環境に合った最適なろ材選びができるようになるでしょう。